PTいっつんのEBMブログ

理学療法士兼ひよっこEBMerがお届けする文献抄読

「就寝時に起こるももやふくらはぎの痙攣はストレッチで改善できるのか?」

初めまして。施設に勤務しております、理学療法士のいっつんと申します。

EBM初心者ですが、読んだ文献をブログに書いて皆様のお役に立てればと考えております。ご意見などございましたら、コメントを宜しくお願いします。

 

今回のお題は

 

「就寝時に起こるももやふくらはぎの痙攣はストレッチで改善できるのか?」

 

私自身、 こういった就寝時の相談をよく伺います。

同じように太ももやふくらはぎの痙攣でお困りの方ののヒントになれば幸いです。

 

「Stretching before sleep reduces the frequency and severity of nocturnal leg cramps in older adults: a randomised trial」

http://www.journalofphysiotherapy.com/article/S1836-9553(12)70068-1/pdf

PMID:22341378

ランダム化比較対象試験 

 

【PECO】

P:キニーネ使用者、睡眠治療患者、整形外科治療患者、重篤な疾患を有する患者、筋痙攣を伴った併存疾患を有する人をのぞく、就寝時に太ももやふくらはぎが痙攣する55歳以上の方→119人(のち除外39人)

E:6週間、就寝前にハムストリングスとふくらはぎのストレッチを行う→40人

C:ストレッチの方法を指導されていない55歳以上の男女→40人

O:太ももやふくらはぎの痙攣の回数や強さが改善するか

 

※1次アウトカムは明確か→回数、強さに対して直接的に患者自身で評価を行っており、明確と考えられる。

ITT解析されているか→されている

人数の割り当ても均等に行われている。

 

【方法】

介入群に対してセラピストがハムストリングスとふくらはぎのストレッチを指導(方法については本文献のFigure 1を参照してください)。6週間、就寝前にストレッチを実施し、翌日に就寝中の痙攣の頻度と10cmのVASを用いて痙攣の強度を記録。

 

【結果】()内は95%信頼区間

・痙攣の頻度(単位:回数)

0週 介入群:3.4(SD1.5) 非介入群:3.2(SD1.9)

6週 介入群:1.4(SD1.5) 非介入群:2.4(SD1.7)

→6週間の介入で非介入群よりも1.2回の軽減がみられている。

 

・痙攣の強さ(単位:cm)

0週 介入群:7.2(SD1.4) 非介入群:7.4(SD1.3)

6週 介入群:5.9(SD1.4) 非介入群:7.5(SD1.3)

→6週間の介入で非介入群よりも1.3cmの軽減がみられている。

 

【感想】

 痙攣の回数、強さともに微小ながらも改善が見込まれているようです。

ももやふくらはぎの痙攣には電解質の不足、下肢の血流量の低下や冷感など、様々な理由があるようですが、根本的な原因が未だ不明とされています。(解明されればノーベル賞レベルとのうわさも)

ひとつの提案として、ご本人やご家族に、夜間の太ももやふくらはぎのストレッチを検討してみようと思います。また、リハビリのメニューにも組み込むことも検討していきたいと思います。