PTいっつんのEBMブログ

理学療法士兼ひよっこEBMerがお届けする文献抄読

高齢者の食欲不振について

訪問して下さりありがとうございます。

 嚥下に関連して高齢者の食欲不振について書いていきたいと思います。

今回はさらっと。

「Mechanisms of the anorexia of aging—a review」

URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5005824/

PMCID: PMC5005824

レビュー文献(125件)

 【方法】

MedlineとPubmedのデータベースからanorexia aging/ageing(加齢による食欲不振)をキーワドに検索。65歳以上の、病理学、疫学、死亡率、加齢による食欲不振の治療とその評価について抽出。anorexia nervosa(神経性食欲不振)は除外。

 

【感想】

加齢に伴った認知機能や消化器系の変性は想像つきますが、教養や生活状況によっても食欲は変化してくるようです。当たり前ですが、ご本人や周囲の方がの生活状況に合わせて下支えしつつ、リスクや注意点の指導が安心感のいち要因と考えられます。

8/26の居酒屋抄読会 in 京都のお知らせ

訪問して下さり、ありがとうございます。

 

8/26に、AHEADMAPでご活躍されている、薬剤師のずらとも先生(https://twitter.com/zuratomo4)が主催されている、居酒屋抄読会で薬剤師と理学療法士のコラボ企画を行っていく運びとなりました!ツイキャス配信も行いますので、医療関係者に限らず、奮ってご参加ください!

 

【ご案内】

場所:京都(四条河原町付近の居酒屋)

時間:21:00〜

メンバー:ずらとも先生、PTいっつん (出来ればあと京都でお二人参加して下さる方がいらっしゃると嬉しいです)

詳細はこちらをご参照ください。

twipla.jp

 

今回のコラボですが、「誰でも」「分かりやすい」「各人の意見を尊重」をモットーに進めて参りたいと思います。

色んな方からご意見頂けると幸いです!ぜひとも宜しくお願いします!

 

【お題】

患者プロフィール:Aさん 75歳男性、要介護1、転倒歴なし。ADLは屋内外ともに自立。趣味はカラオケと晩酌。外出はその他週3回程度。

奥様(73歳、要支援1)と同居。家事や家のことは殆ど奥様が1人で行っている。

住宅は2階建ての一戸建て。手摺などは特に設置していない。

 

あなたはある日、面識のあるA様宅に遊びに行くこととなりました。その際に同居している奥様からこんなお話を伺うこととなりました。

 

奥様「ねえ、実は最近、主人が最近が昼間も眠いみたいで歩く時にフラフラすることがあるよのよね…前はこんなこと無かったんだけど…」

 

あなた「心配ですね…夜はちゃんと眠れていらっしゃいますか?」

 

Aさん「つい2週間くらい前から寝つきが悪くて、病院にかかってから、マイスリーっていう薬を飲むようになったんだけどね、なんか昼間も眠いんだよね…。しかも、ちょっと足下もふらふらして、絨毯の段差にひっかかって転びそうになったんだ…。歳だし、体が弱くなったのかな…」

 

奥様「ねえ、この人(ご主人)がこの薬を飲んでても大丈夫なのかしら?ほら、最近は転んで大腿骨っていうの、脚の骨を折る人がいるって言うじゃない、入院とかしたら大変だし、なるべく元気に過ごして欲しいのよね…。転ばないようにするにはどうしたらいいのかしら…?」

 

と、そこであなたは持っていたタブレットを使って文献を調べ始め、まずは解決の糸口を探してみることとした…

 

使用した文献:

「Use of non-benzodiazepine sedative hypnotics and risk of falls in older men」

URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4289612/

PMID:25587493

 

【お題の論旨】

睡眠障害に対する薬以外のケアとは(もしくは他に聞いた方がいい情報などがあるか)

・フラツキに対してどういった対策を立てていくか

・転ばないよう、ご本人、ご家族ともに普段の生活で注意するべき点は何か

(など。これ以外にも色んな議論が展開が出来るといいなと思っております。)

 

皆様のご参加をお待ちしております!

 

非ベンゾジアゼピン系の服用は転倒リスクを増やすか?

今回のお題は

 

「非ベンゾジアゼピン系(z-drug)の服用は転倒リスクを増やすか?」

訪問して下さりありがとうございます。 

 

高齢者の中には眠剤を服用している方で、特に自分が老健に勤めていた際に日中のフラツキや傾眠から、立位や歩行バランスを崩して転倒するケースを経験したことがありました。今回はその転倒の予測のいち判断として、文献を読んでいきたいと思います。

 

「Use of non-benzodiazepine sedative hypnotics and risk of falls in older men」

URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4289612/

PMID:25587493

前向きコホート研究

 

PECO

P:71歳以上の地域高齢男性(4450人)

E:z-drugを使用すると(94人)

C:ベンゾジアゼピンを使用した場合(177人)or睡眠剤を使用しない場合

O:転倒率は増加するのか

 

※1次アウトカムは明確か→明確

 

 

【方法】

 項目:転倒についてのアンケート(4ヶ月ごとにアンケートを送付、何回転倒したのかを1,2,3,4回もしくは5回以上で回答)

その他15項目(IADLの実行の可否、歩行速度、MMSE、GDSなど)を計測。

 

 

【結果】(ResultとConclusuionをまとめて)

 

z-drugのベースライン特性(年齢調整されたモデル) ()内は95%信頼区間

・転倒(RR1.44)、再転倒(RR1.51)

・GDSはz-drugと転倒リスクとの相関(RR1.30)あり

 

z-drug vs ベンゾジアゼピン

・多変量モデル(年齢、GDSスコア、BMIなど12種類)では、ベンゾジアゼピンは転倒、再転倒リスクと中等度の上昇と関連(転倒:RR1.37 再転倒:RR1.44)

※z-drugには年齢調整モデルにおける転倒歴については有意な相互作用があった(P=0.01)

・再転倒については有意でなかった(P=0.24)→潜在的な交絡因子によって有意差が弱められた影響あり

 

z-drug vs 睡眠剤非使用者

・年齢調整モデルではz-drug使用群は(転倒:RR1.40、再転倒:1.35)とリスク増加と関連

ベンゾジアゼピン使用者と転倒の経過との間に相互作用の根拠なし(非転倒者:P=0.41 転倒者P=0.70)

 

【まとめ】

ベンゾジアゼピン使用者は日常生活の障害の増大、身体機能の低下、うつ症状のレベル上昇に関連している

・65歳以上の患者のRCT、ゾルピデム使用者で有意に大腿骨頸部骨折が増加(REFERENCES 9参照)

・65歳以上の後向きコホート研究では、ゾルピデム処方後90日で非椎体骨折、転倒のリスクが高い(REFERENCES 10参照)

・鎮静催眠剤の追加のリスクは既に転倒している人は無視できるレベルだが、前に転倒しなかった人にとっては転倒するリスクが増加する場合がある。

 

【感想】