PTいっつんのEBMブログ

理学療法士兼ひよっこEBMerがお届けする文献抄読

ベンゾジアゼピンと非ベンゾジアゼピンの服用は大腿骨頸部骨折のリスクを増やすか?

訪問して下さりありがとうございます。

 

前々回に掲載したお題に関連して、今回は高齢者で増加する大腿骨頸部骨折について、ブログを書いていこうと思います。

aitataitachan.hatenablog.com

  

「Benzodiazepines, Z-drugs and the risk of hip fracture: A systematic review and meta-analysis」

URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5407557/

PMID: 28448593

ステマティックレビュー

メタ分析

 

PECO

P:50歳以上(平均65歳以上)

E:ベンゾジアゼピン系(BNZ)もしくは非ベンゾジアゼピン系(z-drug)の服用

C:眠剤を服用していない

O:大腿骨頸部骨折

 

※1次アウトカムは適切か→適切。

 

 

【方法】

・Medlineを用いて、PRISMAチェックリスト・フローチャートの基準に則り、RCT、ケースコントロール研究、もしくは骨粗鬆症性骨折関連の骨折で70%以上が大腿骨頸部骨折の文献を抽出し、中でもBNZとz-drugと非服用者の比較を行っているものを選定。

・ニューオタワスケールでGoodの文献を抽出。

・使用期間ごとに、短期(14日以内)、中期(14-30日以内)、長期(1ヶ月以上)に分類。

 

【結果】

BNZ vs 非服用

全体: (RR = 1.52, 95% CI 1.37–1.68, P<0.001, I2 = 67%)

短期:(RR = 2.40, 95% CI 1.88–3.05, P<0.001, I2 = 27%)

中期: (RR = 1.53, 95% CI 1.22–1.92, P<0.001, I2 = 0%)

長期:(RR = 1.52, 95% CI 1.35–1.71, P<0.001, I2 = 59%)

全体(不眠患者のみ):(RR = 1.00% CI 0.83–1.21, P=1.00, I2 不明)

 

 

 

z-drug vs 非服用

全体(RR = 1.80, 95%CI 1.60–2.02, P = 0.001, I2 = 0%)

短期:(RR = 2.39, 95% CI 1.74–3.29, P<0.001, I2 = 26%)

全体(不眠患者のみ):(RR = 1.90, 95% CI 1.68–2.13, P<0.001, I2 = 26%)

 

 

BNZについてはn数の少なさからか、95%CIの幅が大きい文献が散見される。

逆に期間を問わない文献では2004年以降は1つを除き、95%CIが1を超えており、高齢者での服用に伴って、大腿骨頸部骨折の罹患も増えているのではないかと考えらえる。

 

BNZ、z-drugともに短期使用者の大腿骨頸部骨折の罹患リスクは他期間よりも高い結果が出ている。

 

 

【感想】

前回に書いたテーマとほぼ同じ、短期使用での転倒リスクが高いといった結果であり、初めて処方される患者には転倒リスクについても説明する、或いは自宅内での転倒歴についても確認する必要があると考えられる。また、75歳以上では特に、上記薬剤の使用の有無に関わらず、転倒に伴った大腿骨頸部骨折のリスクが増加するため、更に注意が必要かと思われる。PTとしては1日の活動範囲やフラツキについて評価を行い、転倒しやすい箇所に対して、手摺などの設置や障害物の撤去といった環境設定、ご本人・ご家族への動作指導を行う必要がある。その他、眠れない原因を評価し、極力は眠剤を使用せずとも生活が行えるようにアプローチを行っていくことも念頭に入れていければと思う。また、眠気に伴い、運動量の低下による廃用防止のために規則正しい生活リズムをつけていくことも指導していき、ADL低下を防ぐことも考慮していきたい。

8/26の居酒屋抄読会 in 京都のお知らせ

訪問して下さり、ありがとうございます。

 

8/26に、AHEADMAPでご活躍されている、薬剤師のずらとも先生(https://twitter.com/zuratomo4)が主催されている、居酒屋抄読会で薬剤師と理学療法士のコラボ企画を行っていく運びとなりました!ツイキャス配信も行いますので、医療関係者に限らず、奮ってご参加ください!

 

【ご案内】

場所:京都(四条河原町付近の居酒屋)

時間:21:00〜

メンバー:ずらとも先生、PTいっつん (出来ればあと京都でお二人参加して下さる方がいらっしゃると嬉しいです)

詳細はこちらをご参照ください。

twipla.jp

 

今回のコラボですが、「誰でも」「分かりやすい」「各人の意見を尊重」をモットーに進めて参りたいと思います。

色んな方からご意見頂けると幸いです!ぜひとも宜しくお願いします!

 

【お題】

患者プロフィール:Aさん 75歳男性、要介護1、転倒歴なし。ADLは屋内外ともに自立。趣味はカラオケと晩酌。外出はその他週3回程度。

奥様(73歳、要支援1)と同居。家事や家のことは殆ど奥様が1人で行っている。

住宅は2階建ての一戸建て。手摺などは特に設置していない。

 

あなたはある日、面識のあるA様宅に遊びに行くこととなりました。その際に同居している奥様からこんなお話を伺うこととなりました。

 

奥様「ねえ、実は最近、主人が最近が昼間も眠いみたいで歩く時にフラフラすることがあるよのよね…前はこんなこと無かったんだけど…」

 

あなた「心配ですね…夜はちゃんと眠れていらっしゃいますか?」

 

Aさん「つい2週間くらい前から寝つきが悪くて、病院にかかってから、マイスリーっていう薬を飲むようになったんだけどね、なんか昼間も眠いんだよね…。しかも、ちょっと足下もふらふらして、絨毯の段差にひっかかって転びそうになったんだ…。歳だし、体が弱くなったのかな…」

 

奥様「ねえ、この人(ご主人)がこの薬を飲んでても大丈夫なのかしら?ほら、最近は転んで大腿骨っていうの、脚の骨を折る人がいるって言うじゃない、入院とかしたら大変だし、なるべく元気に過ごして欲しいのよね…。転ばないようにするにはどうしたらいいのかしら…?」

 

と、そこであなたは持っていたタブレットを使って文献を調べ始め、まずは解決の糸口を探してみることとした…

 

使用した文献:

「Use of non-benzodiazepine sedative hypnotics and risk of falls in older men」

URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4289612/

PMID:25587493

 

【お題の論旨】

睡眠障害に対する薬以外のケアとは(もしくは他に聞いた方がいい情報などがあるか)

・フラツキに対してどういった対策を立てていくか

・転ばないよう、ご本人、ご家族ともに普段の生活で注意するべき点は何か

(など。これ以外にも色んな議論が展開が出来るといいなと思っております。)

 

皆様のご参加をお待ちしております!

 

非ベンゾジアゼピン系の服用は転倒リスクを増やすか?

今回のお題は

 

「非ベンゾジアゼピン系(z-drug)の服用は転倒リスクを増やすか?」

訪問して下さりありがとうございます。 

 

高齢者の中には眠剤を服用している方で、特に自分が老健に勤めていた際に日中のフラツキや傾眠から、立位や歩行バランスを崩して転倒するケースを経験したことがありました。今回はその転倒の予測のいち判断として、文献を読んでいきたいと思います。

 

「Use of non-benzodiazepine sedative hypnotics and risk of falls in older men」

URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4289612/

PMID:25587493

前向きコホート研究

 

PECO

P:71歳以上の地域高齢男性(4450人)

E:z-drugを使用すると(94人)

C:ベンゾジアゼピンを使用した場合(177人)or睡眠剤を使用しない場合

O:転倒率は増加するのか

 

※1次アウトカムは明確か→明確

 

 

【方法】

 項目:転倒についてのアンケート(4ヶ月ごとにアンケートを送付、何回転倒したのかを1,2,3,4回もしくは5回以上で回答)

その他15項目(IADLの実行の可否、歩行速度、MMSE、GDSなど)を計測。

 

 

【結果】(ResultとConclusuionをまとめて)

 

z-drugのベースライン特性(年齢調整されたモデル) ()内は95%信頼区間

・転倒(RR1.44)、再転倒(RR1.51)

・GDSはz-drugと転倒リスクとの相関(RR1.30)あり

 

z-drug vs ベンゾジアゼピン

・多変量モデル(年齢、GDSスコア、BMIなど12種類)では、ベンゾジアゼピンは転倒、再転倒リスクと中等度の上昇と関連(転倒:RR1.37 再転倒:RR1.44)

※z-drugには年齢調整モデルにおける転倒歴については有意な相互作用があった(P=0.01)

・再転倒については有意でなかった(P=0.24)→潜在的な交絡因子によって有意差が弱められた影響あり

 

z-drug vs 睡眠剤非使用者

・年齢調整モデルではz-drug使用群は(転倒:RR1.40、再転倒:1.35)とリスク増加と関連

ベンゾジアゼピン使用者と転倒の経過との間に相互作用の根拠なし(非転倒者:P=0.41 転倒者P=0.70)

 

【まとめ】

ベンゾジアゼピン使用者は日常生活の障害の増大、身体機能の低下、うつ症状のレベル上昇に関連している

・65歳以上の患者のRCT、ゾルピデム使用者で有意に大腿骨頸部骨折が増加(REFERENCES 9参照)

・65歳以上の後向きコホート研究では、ゾルピデム処方後90日で非椎体骨折、転倒のリスクが高い(REFERENCES 10参照)

・鎮静催眠剤の追加のリスクは既に転倒している人は無視できるレベルだが、前に転倒しなかった人にとっては転倒するリスクが増加する場合がある。

 

【感想】

今回のケースでは恐らくコホート研究では避けられなかった交絡因子の存在によって、z-drugとベンゾジアゼピンの再転倒の有意差は見受けられなかったとなってしまったため、再検討する必要があると考えられる。

Conlusionにも記載があったが、ベンゾジアゼピン使用者は認知機能や身体機能の低下、うつ状態の悪化といった心身の状態悪化から転倒へ到るケースが多いが、z-drugについてはこの文献からは、睡眠障害を起因として転倒へ到るケースが多い印象があるとのこと。

 

認知機能の低下やうつ状態の悪化、身体機能の低下など、心身の状態変化においても転倒リスクを評価し、特に予後を予測し、時々に合わせた環境設定はもとより、日常生活場面での練習(予後を予測した杖歩行の練習など)を行ったり、ご家族ないしは施設であれば担当している職員に見守りしてもらうといった、マンパワーが必要な場合の指導を行っていく必要があると感じた。

 

そのため、主に睡眠障害のある方に対し、ご本人やご家族に対し日中や夜間の身体のふらつきや覚醒の状態を確認していく必要がある。転倒しないために、必要に応じて、環境設定(歩く際に手で掴まれるように動線上にテーブルや手摺を設置するなど)を施行していったり、転倒リスクのある絨毯や段差の撤去など、またはご本人やご家族に転倒しやすい箇所について注意を促したり、リハビリで転倒しないように訓練を行う必要がある。また、睡眠障害に対して、服薬以外での対策の検討も提案できれば転倒リスクは減るのではないかな…と。(医師や薬剤師、他職種との連携がカギとなってきそうな気はします)

 

ご意見などありましたら、twitterやコメントを頂けると幸いです。

引き続き、宜しくお願いします。

 

腰痛にプラセボは効果があるのでしょうか?(理学療法士の目線から)

訪問して下さりありがとうございます。 

 

体幹インナーマッスルに続き、腰痛についてです。

面白い文献を薬剤師のニンジャ先生

screamtheyellow.hatenablog.com

よりお教え頂きましたので、読んで参りたいと思います。

 

 

また、今回の題材はJJCLIPの第9回の放送でもありました、[症例35:腰痛にプラセボは効果があるのでしょうか?] 

pharmasahiro.hatenablog.com

 (クスリのよろず屋「雅 (Miyabi)」の見立て より引用)でも題材となったものです。それをPT目線で見ていきたいと思います。

「Open-label placebo treatment in chronic low back pain: a randomized controlled trial.」

URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5113234/pdf/jop1-157-2766.pdf

PMID: 27755279

ランダム化比較対象試験(無盲検法) 

 

PECO

P:3か月以上の非特異的な慢性腰痛を持ち、薬を服用している患者 97人(脱落 14人)

E:プラセボの錠剤を併用した場合(OLP群)→ 41人

C:通常の薬を飲んでいる場合(TAU群)→42人

O:腰痛に変化がみられるか

 

※1次アウトカムは適切か→疼痛については一時点だけでなく、詳細な評価がなされていると考えられる。RDQスコアを用いて障害の程度まで評価を行っているため、腰痛からの影響についても評価を行えていると考えらえる。

 

ITT解析されているか→されていない

 

【方法】

3週間、通常飲んでいる薬を飲む際にOLP群はプラセボ錠を飲む。評価はNRSとRDQスコアを用いて介入前、11日後、21日後に実施。NRSは痛みが弱いとき、中程度、最大の痛み、痛み全体(複合)をそれぞれ評価。

 

【結果】(変化がみられたものを記載)

NRS(複合): OLP群 1.49(SD1.68)  TAU群 0.24:(SD1.61) P値<0.001

RDQ:OLP群 2.86(SD3.91)TAU群 0.02(SD3.73) P値<0.001

 

【感想】

プラセボプラセボだと分かっていても効果があるんですね…。すごい…。子供だましという訳ではありませんが、例えば、腰痛に悩まされている方に対して、ご本人やご家族へ説明した上で、信頼関係に障害が出ないように行ってもいいのではないかと思います。(自分はそこまでのリスクを背負ってまではやらないですね…。)

 

今回の研究のNRSの取り方は痛みに波がある場合に、調査の際だけでなく、それ以外での場面の痛みについても検査が行えるメリットがあるなと感じました。また、痛みはVASやNRSといった主観的な検査が多いですが、リハビリの場面だと、例えば関節の可動域や筋力、日常生活がどれだけ自立できているかといったFIMなど、痛みによって影響される因子についても客観的に検査、評価を行いアプローチを行っていきます。今回の研究をリハビリで実施して、客観的評価が行えるとどうなるか、気になるところではあります。

 

自分は臨床場面では、患者さんから、どんな時(どんな動作、疲労の度合い、時間帯など)に痛みが出るのかについて、日常生活のどういったことが一番困っているか、お話を伺うようにしてます。そうすることで、患者さんの痛みを共有でき、他の職種と情報共有を行う、コミュニケーションのきっかけにもなります。また、経時的に患者さんの様子を伺い、話の中で痛みの変化があれば、最初とどう違うのか、気づいたことをお伝えすることも患者さんの不安感の軽減にも繋がり、次の対策についても考えられます。

 

その他、臨床で工夫されていること、疑問に思うことがありましたら、コメントやtwitterでお話できると幸いです。

BCAAの摂取はダイエットに効果があるのか?

訪問して下さりありがとうございます。 

 

筋トレをする際に、プロテインはもとより、その他アミノ酸系、ブースター系、回復系など様々なサプリメントがあります。その中でもBCAAの効果についての文献を見つけましたので、紹介致します。

 

「In a single-blind, matched group design: branched-chain amino acid supplementation and resistance training maintains lean body mass during a caloric restricted diet

https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-015-0112-9

PMID: 26733764

ランダム化比較対象試験(単盲検法)

 

PECO

P:レジスタンストレーニングを行っている21-28歳の男性(17人)

E:食事制限中にBCAAをトレーニング前(または最中)と後に摂取した場合(BCAA群)

C:  食事制限中に糖質サプリメントをトレーニング前(または最中)と後に摂取した場合(CHO群)

O:  除脂肪体重に変化があるか

 

※1次アウトカムが明確か→除脂肪体重以外にも、体重や筋量といった具体的な増加が予想される項目についての検査も実施しており、明確と思われる。

ITT解析されているか→されていない

n数が17と少なく、信憑性が低い可能性がある。

 

【方法】

検査は体組成計を用いて、体重、体脂肪量、除脂質体重、休憩代謝量(RMR)はTrue One®を用いて計測。筋力は1RMのベンチプレス、スクワットの重量を計測。筋持久力は1RMの80%でベンチプレス、スクワットをできるだけ多く行うよう指示し、回数を計測。

介入は8週間、4回/週(4分割)でレジスタンストレーニングを実施。指示された方法で制限食を摂取(Table1 参照)、BCAA群、CHO群ともにそれぞれトレーニング前(または最中)と後で各14gずつ摂取。

 

【結果】(数値はp<0.05)

 ・体重について

BCAA群:脂質量の有意な減少(-0.05±0.08kg)がみられている。

CHO群:有意な減少がみられており(-2.3±0.7kg)、除脂肪体重の有意な減少(-0.9±0.06kg)がみられている。

・筋力について

両群ともに全身筋力の有意な変化あり。

BCAA群:全身筋力(15.1±2.2kg)、上半身(7.1kg±1.6kg)

CHO群:全身筋力(-3.7kg±2.3kg)、上半身(-3.7kg±2.3kg)

・筋持久力について

スクワットにおいてはCHO群で有意な変化(5.3±0.2回)あり。

ベンチプレスは両群とも介入前と変化なし。

・RMRについて

BCAA群:有意な減少(-412±67kcal/day)がみられている。

CHO群 介入前と変化なし。

 

【感想】

研究自体はn数が17と少なく、単盲検法であり、信憑性の低さは否めません。しかし、研究の方法についてはプロトコルに則り、定量的な方法がとられていることから、デザインとしては偏りの少ない方法ではないでしょうか。個人的にはシェイプアップを目指す方はトライしてみる価値はあると考えられます。

 

研究結果をみる限り、BCAAを食事制限中に摂取することで、脂肪を落としつつ、筋量を向上させることが出来るようです。メリハリのある体型を求める場合に向いていると考えられます。その代わりに代謝が低下することによる脂質増加のリスクはあるため、筋トレの負荷量は維持するか上げていく、必要に応じて運動の回数を増やす必要があると考えられます。逆に、体重を落とす場合(格闘技などの減量)については向いていないように思えます。

 

 

サプリメントを購入する際、メリットだけでなくデメリットについても検討し、自分の理想の体型や競技に沿ったものを検討していく必要があるのではないでしょうか。また、サプリメントはあくまでも食事で補えないものをさらに摂取をするためのものであり、減量する際は代謝量と摂取カロリーを比較し、食事からまんべんなく栄養を摂取することを最優先に考える必要があります。

筋トレをする際の監督者の割合で成果が違う?

訪問して下さりありがとうございます。 

 

自分の趣味が筋トレであり、今回は筋トレについてと、リハビリでの集団体操に活かせそうな論文を見つけたので紹介していきたいと思います。

 

「Influence of supervision ratio on muscle adaptations to resistance training in nontrained subjects.」

https://www.researchgate.net/publication/26723844_Influence_of_Supervision_Ratio_on_Muscle_Adaptations_to_Resistance_Training_in_Nontrained_Subjects

PMID: 19661830

ランダム化比較対象試験

 

PECO

P:非トレーニング実施者200人(後に除外76名)

E:筋力トレーニングを監督:被験者の割合が1:5の場合(HS群)で実施

C:筋力トレーニングを監督:被験者の割合が1:25の場合(LS群)で実施

O:筋力の増加量は高くなるのか

 

※1次アウトカムか→1次アウトカム

ITT解析されているか→されていない(除外が多く、バイアスがかかる可能性あり?)

 被験者、監督ともにランダム化されている。

【方法】

18歳以上の健常かつ今までトレーニングをやったことがない男性を対象に実施。HS群、LS群ともに被験者は25名で1グループ、各群4グループで実施。 11週間にわたり、2回/週、メニューA,B,C(TABLE1参照)を繰り返し行っていく。各種目は8-12回実施。筋力については介入1週間前と11週介入後5-7日後にベンチプレスの1RMでの負荷量、バイオデックスを用いた膝伸展筋力を計測。

【結果】

ベンチプレス(単位:kg)

0週  HS群:56.6±10.94  LS群:60.87±14.18

11週 HS群:65.6±11.11(p<0.05 vs LS)  LS群:67.09±12.82(p<0.05 Vs 0週)

 

膝伸展筋力(単位:kg)

 0週  HS群:212.21±41.13  LS群:235.68±31.34

11週  HS群:236.96±38.91(p<0.05 vs LS)  LS群:238.46±38.62

 

ベンチプレスについては両群ともに有意な増加(LS:10.22%、HS:15.9%:p<0.05)を示した。

膝伸筋トルクについてはHS群で有意な増加(11.8%:p<0.05)を示した。

 

【感想】

解析の結果から、さらに「HS群の被験者の74.19%およびLS群の被験者の36.07%が、ベンチプレス運動において最大強度で訓練されたと推定された。脚部運動では、HSで17.74%、LSで9.68%が最大反復で訓練を受けた。」とされていました。しかしながら、除外者が多く、データの偏りがみられる可能性があるのではないでしょうか。また、被験者に対する監督の関わり方については明記されておらず、場合によっては被験者と監督との接触頻度や話し合われる内容によっても筋力に変化がもたらされるのではないかという疑問があります。逆にマンツーマンで行う場合など、被験者が5人よりも少ない場合についても気になるところではあります。

また、リハビリに関しては集団体操を行うこともしばしばあります。その際の人数配置によっては今回の研究同様に、上下肢の筋力向上ないし、ADLの能力向上にも貢献できる可能性があるのではないでしょうか。このあたりについては研究をしていく必要があると考えられます。

体幹のインナーマッスルの強化で非特異的腰痛は改善しない…?

 

訪問して下さりありがとうございます。

 

巷で「体幹インナーマッスルを鍛えてバランスよくする…、ダイエット…、姿勢改善…」という言葉をよく耳にするようになりました。臨床でも、負荷が腰部に局所的にかかって痛みが起こっている場合、体幹インナーマッスルを鍛え、その負荷を分散させて痛みをとろうとする治療方法を聞くことがあります。そこで今回は実際の臨床データからその効果のほどを見ていきたいと思います。

 

「Trunk muscle stabilization training plus general exercise versus general exercise only: randomized controlled trial of patients with recurrent low back pain.」

https://www.researchgate.net/publication/8000885_Trunk_Muscle_Stabilization_Training_Plus_General_Exercise_Versus_General_Exercise_Only_Randomized_Controlled_Trial_of_Patients_With_Recurrent_Low_Back_Pain

PMID:15733046

ランダム化比較対象試験 

 

PECO

P:亜急性期~慢性期の非特異的腰痛患者→126人(除外55 71人)

E:腹横筋+多裂筋の強化と通常の腰痛体操を8週実施→29人(インナーマッスル群)

C:通常の腰痛体操を8週実施→26人(通常群)

O:腰痛の程度、腰痛に伴った活動、不安感、痛みのコントロールに差が出るのか

 (Pの除外人数に誤りがあり、訂正いたしました。)

※1次アウトカムは明確か→検査項目が多いが、プライマリアウトカムは腰痛の程度ではあると思われ、それを裏付ける目的で様々な評価を実施しているため、明確であると考えられる。

ITT解析されているか→されている

 

【方法】

各群ともに、介入前、2か月後、5か月後に以下の検査を実施。(体操についてはAppendix参照)

SF-MPQ-2:痛みの質、強さ

VAS(介入前A 、2か月後B 、7か月後Cとしている):痛みの強さ

RMDQ:腰痛による活動制限について

TSK:腰痛に対する不安感

PSEQ:慢性腰痛に対する自己効力感

PLC:痛みに対するコントロールが自己または外部によるものかの知覚について

 

 

【結果】

通常群で介入前-2か月後RMDQが優位に改善するのみであった。

 

RMDQについて  ※()内は標準偏差

介入前     インナーマッスル群9.2(4.6) 通常群11.3(5.2)

2か月後   インナーマッスル群5.1(4.0) 通常群4.7 (3.5)

5か月後   インナーマッスル群4.5(3.8) 通常群5.2 (3.5)

P値 0.5 

 

【感想】

研究結果をみると、体幹インナーマッスルを鍛えても、通常の体幹の筋力訓練と大きな差がないようです。巷でインナーマッスルを推す声がある中で、かたやこういったデータが出たことは無視できないです。やはり、その治療法が果たして有効かについてしっかりと検討しないといけない、という警鐘を鳴らしているようにも感じました。当たり前ですが、自分がセラピストである以上、安易に体幹インナーマッスルに注視してはいけないなと改めて感じました。やはり、機能~社会参加までを包括的に評価を行い、機能改善のみならず、腰部へ負担をかけない動作の指導や姿勢など、患者さんひとりひとりへの生活へのアプローチを心掛けていく必要があるのではないでしょうか。引き続き、腰痛へのアプローチについての文献を読んでいき、またブログに綴りたいと思います。

 

現在、批判的吟味についても勉強中であるため、気になる点などございましたら、コメントやtwitterでリプライやDMを頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願いします。