体幹のインナーマッスルの強化で非特異的腰痛は改善しない…?
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巷で「体幹のインナーマッスルを鍛えてバランスよくする…、ダイエット…、姿勢改善…」という言葉をよく耳にするようになりました。臨床でも、負荷が腰部に局所的にかかって痛みが起こっている場合、体幹のインナーマッスルを鍛え、その負荷を分散させて痛みをとろうとする治療方法を聞くことがあります。そこで今回は実際の臨床データからその効果のほどを見ていきたいと思います。
「Trunk muscle stabilization training plus general exercise versus general exercise only: randomized controlled trial of patients with recurrent low back pain.」
PMID:15733046
ランダム化比較対象試験
【PECO】
P:亜急性期~慢性期の非特異的腰痛患者→126人(除外55 71人)
E:腹横筋+多裂筋の強化と通常の腰痛体操を8週実施→29人(インナーマッスル群)
C:通常の腰痛体操を8週実施→26人(通常群)
O:腰痛の程度、腰痛に伴った活動、不安感、痛みのコントロールに差が出るのか
(Pの除外人数に誤りがあり、訂正いたしました。)
※1次アウトカムは明確か→検査項目が多いが、プライマリアウトカムは腰痛の程度ではあると思われ、それを裏付ける目的で様々な評価を実施しているため、明確であると考えられる。
ITT解析されているか→されている
【方法】
各群ともに、介入前、2か月後、5か月後に以下の検査を実施。(体操についてはAppendix参照)
SF-MPQ-2:痛みの質、強さ
VAS(介入前A 、2か月後B 、7か月後Cとしている):痛みの強さ
RMDQ:腰痛による活動制限について
TSK:腰痛に対する不安感
PSEQ:慢性腰痛に対する自己効力感
PLC:痛みに対するコントロールが自己または外部によるものかの知覚について
【結果】
通常群で介入前-2か月後RMDQが優位に改善するのみであった。
RMDQについて ※()内は標準偏差
介入前 インナーマッスル群9.2(4.6) 通常群11.3(5.2)
2か月後 インナーマッスル群5.1(4.0) 通常群4.7 (3.5)
5か月後 インナーマッスル群4.5(3.8) 通常群5.2 (3.5)
P値 0.5
【感想】
研究結果をみると、体幹のインナーマッスルを鍛えても、通常の体幹の筋力訓練と大きな差がないようです。巷でインナーマッスルを推す声がある中で、かたやこういったデータが出たことは無視できないです。やはり、その治療法が果たして有効かについてしっかりと検討しないといけない、という警鐘を鳴らしているようにも感じました。当たり前ですが、自分がセラピストである以上、安易に体幹のインナーマッスルに注視してはいけないなと改めて感じました。やはり、機能~社会参加までを包括的に評価を行い、機能改善のみならず、腰部へ負担をかけない動作の指導や姿勢など、患者さんひとりひとりへの生活へのアプローチを心掛けていく必要があるのではないでしょうか。引き続き、腰痛へのアプローチについての文献を読んでいき、またブログに綴りたいと思います。
現在、批判的吟味についても勉強中であるため、気になる点などございましたら、コメントやtwitterでリプライやDMを頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願いします。