PTいっつんのEBMブログ

理学療法士兼ひよっこEBMerがお届けする文献抄読

BCAAの摂取はダイエットに効果があるのか?

訪問して下さりありがとうございます。 

 

筋トレをする際に、プロテインはもとより、その他アミノ酸系、ブースター系、回復系など様々なサプリメントがあります。その中でもBCAAの効果についての文献を見つけましたので、紹介致します。

 

「In a single-blind, matched group design: branched-chain amino acid supplementation and resistance training maintains lean body mass during a caloric restricted diet

https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-015-0112-9

PMID: 26733764

ランダム化比較対象試験(単盲検法)

 

PECO

P:レジスタンストレーニングを行っている21-28歳の男性(17人)

E:食事制限中にBCAAをトレーニング前(または最中)と後に摂取した場合(BCAA群)

C:  食事制限中に糖質サプリメントをトレーニング前(または最中)と後に摂取した場合(CHO群)

O:  除脂肪体重に変化があるか

 

※1次アウトカムが明確か→除脂肪体重以外にも、体重や筋量といった具体的な増加が予想される項目についての検査も実施しており、明確と思われる。

ITT解析されているか→されていない

n数が17と少なく、信憑性が低い可能性がある。

 

【方法】

検査は体組成計を用いて、体重、体脂肪量、除脂質体重、休憩代謝量(RMR)はTrue One®を用いて計測。筋力は1RMのベンチプレス、スクワットの重量を計測。筋持久力は1RMの80%でベンチプレス、スクワットをできるだけ多く行うよう指示し、回数を計測。

介入は8週間、4回/週(4分割)でレジスタンストレーニングを実施。指示された方法で制限食を摂取(Table1 参照)、BCAA群、CHO群ともにそれぞれトレーニング前(または最中)と後で各14gずつ摂取。

 

【結果】(数値はp<0.05)

 ・体重について

BCAA群:脂質量の有意な減少(-0.05±0.08kg)がみられている。

CHO群:有意な減少がみられており(-2.3±0.7kg)、除脂肪体重の有意な減少(-0.9±0.06kg)がみられている。

・筋力について

両群ともに全身筋力の有意な変化あり。

BCAA群:全身筋力(15.1±2.2kg)、上半身(7.1kg±1.6kg)

CHO群:全身筋力(-3.7kg±2.3kg)、上半身(-3.7kg±2.3kg)

・筋持久力について

スクワットにおいてはCHO群で有意な変化(5.3±0.2回)あり。

ベンチプレスは両群とも介入前と変化なし。

・RMRについて

BCAA群:有意な減少(-412±67kcal/day)がみられている。

CHO群 介入前と変化なし。

 

【感想】

研究自体はn数が17と少なく、単盲検法であり、信憑性の低さは否めません。しかし、研究の方法についてはプロトコルに則り、定量的な方法がとられていることから、デザインとしては偏りの少ない方法ではないでしょうか。個人的にはシェイプアップを目指す方はトライしてみる価値はあると考えられます。

 

研究結果をみる限り、BCAAを食事制限中に摂取することで、脂肪を落としつつ、筋量を向上させることが出来るようです。メリハリのある体型を求める場合に向いていると考えられます。その代わりに代謝が低下することによる脂質増加のリスクはあるため、筋トレの負荷量は維持するか上げていく、必要に応じて運動の回数を増やす必要があると考えられます。逆に、体重を落とす場合(格闘技などの減量)については向いていないように思えます。

 

 

サプリメントを購入する際、メリットだけでなくデメリットについても検討し、自分の理想の体型や競技に沿ったものを検討していく必要があるのではないでしょうか。また、サプリメントはあくまでも食事で補えないものをさらに摂取をするためのものであり、減量する際は代謝量と摂取カロリーを比較し、食事からまんべんなく栄養を摂取することを最優先に考える必要があります。